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「コロナ後」に現金支払いは減るのか

30 Apr 2020 ブログ

「コロナ後」に現金支払いは減るのか

「コロナ後」に現金支払いは減るのか

 

ここ数週間で「コロナ後」の決済手段に関する報道が増えてきました。
その中で増えてきたのが、コロナをきっかけにキャッシュレスが加速するのではないか、という報道です。
現金に付着したコロナウイルスによる感染を危惧し、非接触式型決済を選択する人が増えているとか。
このことから、「コロナ後」も継続してキャッシュレス決済が利用され、結果的にキャッシュレス決済が増えていくのではないか、という推測がなされています。
不特定多数の人が触れるものに触れ、そのまま口、鼻、目などに触れることで、コロナウイルスへの感染の危険がある、これは既知の通りです。
感染不安から増えつつあるキャッシュレス決済が「コロナ後」も増え続け、現金決済は減っていくのでしょうか?

現金使用に関するWHOの見解

現金使用によるコロナウイルス感染を恐れる声が高まる中、WHOがキャッシュレス決済を推奨したとの報道がありました。
この報道は事実に反するもので、WHOは紙幣や硬貨からのコロナウイルス感染リスクは、買い物時の買い物かごやカート、エレベーターのボタン、キーパッド、携帯電話や銀行のカードなどからの感染リスクと変わりはないと声明を出しています。
米CNBCは『キャッシュレス決済でコロナ感染拡大を防げるのか?WHOがあなたに知ってほしいこと(Can going cashless prevent coronavirus spread? Here’s what the WHO wants you to know)』という記事の中で、「WHOは現金使用を控えるようにとの声明は出していない」ことを再度強調します。
同記事の中でGeorge Washington School of Medicine and Health Sciencesのマイケル・ナイト医学部准教授は「コロナウイルスやインフルエンザなどの呼吸器系ウイルスは、ウイルスが手から口、鼻、目などに移動した場合にのみ感染する」とし、非接触式決済を利用していても、携帯電話、クレジットカード、決済用ターミナルに触れた後に手を洗わなければ感染の危険が同様にあることを指摘しています。
ナイト准教授は、現金を扱うレジ担当者については「手をこまめに洗うこと」と「手で顔に触れないこと」が重要だと述べています。
これに加え、ニューヨーク州保健局はレジ担当者が使い捨てグローブを使用する際には、グローブのこまめな洗浄と交換、また現金に触れたあとに食事をする際には再度手を洗うことを推奨しています。

コロナ禍での店舗の現状

「4月末でキャッシュレス決済を終了します。5月以降は現金決済のみとなります」。
こんな張り紙を見かけたのはよく利用するスーパーでした。
キャッシュレス決済の手数料無料期間が終了するのを前に、収益に対するコストを見直した結果、低価格を維持しながら手数料を払い続けることが難しいと判断したのではと予想されます。
とある個人経営のお店でも、「お支払いは現金のみです」。
理由を聞いたところ、キャッシュフローを考えると、キャッシュレス決済の導入は難しいと。
コロナウイルスの影響で、店舗の一時閉鎖、営業時間短縮などの対策を打ったため、多くの店舗で売り上げが大幅に減り、キャッシュフローがすでに厳しくなっています。
この現状で、キャッシュレス決済の手数料を払い続けることは、かなりハードルが高くなっているようです。
1年は続くのではないかと報道されているコロナウイルス。「コロナ後」はまだ数カ月先の話かもしれません。
消費者からのキャッシュレス決済へのニーズに応えるには、まずはキャッシュフローの改善が必要だという店舗は少数ではないようです。

「コロナ後」に現金支払いは減るのか

コロナウイルスへの感染拡大を防ぐためにキャッシュレス支払いを選択する人は一時的に増えているようですが、「コロナ後」はどうでしょうか。
6月末に終了が予定されているキャッシュレス還元事業のように、消費者にメリットがある場合、キャッシュレス支払いは確実に広がります。
ただし、コロナ禍で苦しむ店舗側へのメリットがない限り、現在約112万店舗まで広がったキャッシュレス支払い導入店舗は確実に減っていくのではないでしょうか。
もう一つ忘れてはいけないのは、現金は社会インフラであるという点です。
決済手段は選択肢として存在すべきであり、一択になってはいけないのです。
手をよく洗うことでウイルス感染が防げるという事実を基に、支払い手段について議論することが本当に今求められているのか再考しませんか。
今求められているのは、今後店舗を経営する側、消費者側にとって、コロナ禍からの復興に向けてどのような対策が求められるのかを議論することではないでしょうか。

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